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神奈川県相模原市消防本部様

キーワードはネットワークの有効活用
消防・防災

神奈川県の相模原市消防本部ではこの度、消防緊急システム、防災緊急システム、気象情報システムなどを包括したコンピュータシステムのリニューアルを行い、1999年3月より稼働をスタートしました。新システムにおける最大のポイントは、『出動体制の迅速化』と『情報の共有化』。ネットワークを有効活用することで、それを実現するための仕組みを構築しています。

■次世代消防防災システムの新潮流

 消防機関におけるコンピュータシステムの歴史と変遷は、119番通報受付専用電話としての電話交換機の導入に端を発しています。第2段階は、電話交換機とコンピュータの連動システム。コンピュータ技術の進歩ならびに119番通報の増加に伴い、音声指令送信、出動部隊の自動選定、地図検索装置との連携、車輌動態位置の管理などといったコンピュータによる各種処理機能が電話交換機に付加されていきました。
 第3段階は、コンピュータによる処理機能を通信技術の向上により、さらに強化・拡充したシステムです。それによって指令業務の自動化、音声合成装置による指令、119番発信地表示システムとの連動、新車両動態位置管理システム(GPS利用による自動位置捕捉)、各種支援情報のデータベース化などが実現しました。現在、消防機関で導入・活用されている既存システムの多くは、この第3段階のシステムです。
 では、21世紀を目前にして、消防機関におけるこれからのコンピュータシステムがあるべき姿は? その新しい潮流を象徴するキーワードこそ、ネットワークのさらなる有効活用に他なりません。具体的には、より広域で有機的なネットワークシステムを構築し、次の3つの連携を可能としていきます。
1)住民情報・福祉情報・地図情報などの共有化を目的とする行政機関との連携
2)地域災害情報通信ネットワークの実現を目的とする国・県・民間企業/団体との連携
3)消防システムの広域化をねらいとする隣接消防機関との連携
■相模原消防本部のコンセプト

当然ながら、相模原市消防本部が描いたコンセプトの背景にも、この新しい潮流が脈々と流れています。新システム導入プロジェクトのメンバーである相模原市消防本部指令課の枡井和彦主任は、そのコンセプトを次のように語ってくれましたた。
「基本的には、『出動体制の迅速化』と『情報の共有化』を最大のねらいとしました。『出動体制の迅速化』では、119番発信地表示システムとGPSを利用した車輌位置管理システムを導入。119番通報受付から災害地点の特定、出動部隊選定、出動指令、災害地点への到達までの時間短縮を実現するとともに、災害場所に関するさまざまな情報を出動部隊に提供することにより、活動初期段階における迅速かつ的確な対応を支援することが可能となっています。また『情報の共有化』においては、蓄積されたデータや気象情報を消防関係各所の端末101台から観ることができるようになりました。市役所の関連機関(防災関係/道路関係/下水道関係など)との連動体制も確立され、いわゆる危機管理を踏まえた情報の共有化が実現したわけです。ここで重要なことは、自ら情報にアクセスする手段を得たことで、より能動的な活動が可能になったということ。例えば、これまでは指令待ちでしかできなかった事前の準備も、自ら情報を得られれば指令前に行うことができるわけです。同時に基幹LANの構築は、情報交換におけるランニングコストの軽減という観点でも期待を集めています。いずれにせよ、システム化の本質的な目的は、現状の戦力でより高度なパフォーマンスを発揮できる体制を確立することにあります。その意味では、かなり改善されたと実感しています。後は個々の意識改革を含めて、システムを存分に活用していくこと。それができてこそ、本当の成果が生まれてくるはずです」
 相模原消防では今後も、市の環境部との連携による大気汚染情報のネットワーク化をはじめ、市民との情報提供、情報交換などに積極的に取り組んでいこうとしています。さらには、高齢化社会を念頭に置いて、自分で避難できない人たちのための福祉消防という新しい概念の検討も行っています。
■気象観測システムの活用を本格化

 一方、今回のリニューアルにおいては、気象情報の充実ということが重要なテーマの一つにあげられました。そこで相模原消防では、日本気象協会からの情報提供システムを確保するとともに、独自にNEIの気象観測システムを導入。また、各分署にもNEIの雨量計を設置して、ネットワーク上で本部・消防署・分署間の気象情報の共有化を実現しました。
「気象情報は、消防システムにおけるサブシステムとして位置付けられていますが、実は災害の予防や拡大を防止という観点で非常に大きな意味を持っています。例えば、風の向きや強さは人員の投入や配置を決める重要な要素となり得ます」(枡井主任)
 各分署に雨量計を設置したのは、相模原市においては突発的な雨が極所的に降るケースが少なくないからだ。消防・救急活動では、これもまた有益な情報となる。
 同時に相模原消防が気象観測装置に注目したもう一つの理由は、データの蓄積を行うためである。蓄積された過去の気象データを共有することで、経験値による予測やシミュレーションにも役立てていきたいと考えたからだ。
「いうなれば、気象情報を把握・分析しておくことによって、前もって、より主体的なアクションを起こすことが可能になるからです。例えば、注意報や警報が出されれば、それに留意するのは当然です。しかし、それらが出される前に何かアクションを起こせたら、災害を未然に防ぐことができるはずです。もちろん、そのためには気象情報を活用できる知識や能力(リテラシー)が必要です。相模原消防では、すでにその目的意識が芽生え始めているようです」(枡井主任)
 最新の情報インフラを整備した相模原消防では、そのネットワークと気象観測システムを有機的に連携させることにより、それを確実に危機管理を踏まえた防災インフラへと昇華させつつあります。